周辺住民へ向けての原子力災害対策

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    住民への防災対策について原子力災害対策指針というものがあります。重大事故で放射性物質が大量に放出されるおそれがある場合、原則半径5キロ圏(PAZ)は即避難、半径5〜30キロ圏(UPZ)は屋内退避と定められています。

    今月の2日に、これに付加するための改定案が原子力委員会の検討チームから出されました。注意が必要な範囲の拡大と事故後の福島第一原発(1F)周囲への特別な指針です。

    まだ検討案ですが、30キロ圏外については原発敷地内の空間放射線量をみて放射性物質を含むプルーム(放射性雲)の移動方向や速度を推測、規制委が予防的に屋内退避を求める自治体を同心円的に設定する方針のようです。1F周囲に関しては原則避難区域は設けずに、屋内退避のみで対処するようです。

    放射性物質から身を守るためには大まかに言ってふたつ。

    ひとつは、直接触れないし摂らない。

    それからもうひとつは、それに拮抗する物質を摂ることです。

    ひとつめに関して上記の規制委や自治体の指示以外に、個人でできることとして、建物の中に外気が入らないように目張りなどをする、内部被曝を防ぐために口や鼻を覆う、汚染飲食物は摂らない、などがあります。

    もうひとつのふたつめに関しては、例えば、放射性セシウムに対してはカリウム。農業でもこの考えは活かされます。それから、放射性ストロンチウムに対してはカルシウムがあります。集積部位は、それぞれ主に、筋肉ですし、骨です。そこでの拮抗作用が期待されるのです。

    放射性ヨウ素に関してはどうでしょう。甲状腺に10〜30%が集積されると言われています。これを防がなければなりません。

    次回から、その方法についてもう少し詳しく述べたいと思います。


     

    *PAZ(Precautionary Action Zone)=予防的防護措置を準備する地域

    予防的な防護措置とは、即時避難を実施する等、放射性物質の環境への放出前の段階からの防護措置のこと

    *UPZ(Urgent Protective Action Planning Zone)=緊急時防護措置を準備する地域

    緊急時には、事態の規模や時間的な推移に応じて、屋内退避のみならず避難等の防護措置も出来るよう準備を整える必要がある


    甲状腺の内部被曝予防策(安定ヨウ素剤の投与)

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      万一に備えて。

      備えあれば憂いなし。

      身近に原発がある生活に安心を添えるための予防策です。

       

      安定ヨウ素(ヨウ化カリウム)の用法用量を中心にまとめてあります。

      実践的な用意と使い方、また保管方法。

      それから、丸薬がのめない小さな子供には事前配布が難しい現状の中で考えられている方法をまとめてみました。

       

       

      1)ヨウ素と日本人

      ヨウ素、つまりヨードは、海の恵みに豊富に含まれる。海洋国家である日本は、食物や土壌中に十分にヨードが含まれるので、ヨード不足に悩む必要がない国のひとつだ。

      どちらかというと過剰気味なくらいである。ホメオスタシスを保つために甲状腺へのヨード移行は抑えられている。慢性的なヨウ素欠乏に悩む内陸部のウクライナで起こったチェルノブイリ事故と同一列に並べてはいけない。

       

      平成24年の10月31日に策定された原子力災害対策指針は、それも踏まえていると思われる。

      まずは、その中の記述に沿って書き出していきたい。

       

       

      2)配布目的

      原子力事故が起こった時の予防的防護措置のひとつとして実施される。

      放射性ヨウ素が甲状腺に留まることで、数年〜数十年後に甲状腺がん等に罹るおそれがある。

      暴露前に大量の安定ヨウ素を摂ることで、放射性ヨウ素の甲状腺への集積を防ぐ。


       

      3)用法用量

      避難の際に服用、が基本的な用い方。

      PAZ(半径5キロ圏内)の住民は、放射能が施設敷地外へ出る恐れが高まった全面緊急事態の段階で、避難する。

      PAZ外のUPZ(5〜30キロ圏)においては、避難ではなく屋内退避が基本だ。プラント状況や空間放射線量率等に応じて、避難などの予防的防護措置を講じることとなる。事前配布が必要かどうかは避難所の態勢をみて、地方公共団体が決定する。

      いつ避難するかは、国や地方公共団体の災害対策本部の指示に従うので、安定ヨウ素の服用も個々の判断ではなく避難の指示をうけてからとなる。

       

      服用は、原則1回かぎり。効き目は24時間続く。避難はそれまでに完了しなければならない。

       

      対象年齢は新生児から40歳未満の大人まで。被曝による甲状腺がんは特に活動が活発な乳幼児〜10歳の時期に多く見られるので、それをいかに防ぐかが鍵となる。妊婦は、年齢に関係なく服用する。

       

       

       
       ヨウ素量  ヨウ化カリウムとして
      新生児 12.5mg    16.3mg
      生後1ヶ月〜3歳未満   25mg    32.5mg
      3歳〜13歳未満   38mg      50mg
      13歳〜40歳未満・妊婦   76mg     100mg


       

      服用のタイミングは、早すぎても遅すぎてもいけない。

      放射能暴露の前の24時間以内であれば、90%以上防げる。代表的な資料データを載せてみる。別の資料では、被曝直前投与で97%防御、被爆後3時間後で約50%というデータもある。

       

      被曝前24時間以内    90%以上

        被爆後8時間後     40%

      被爆後24時間後     7%

      [出典:Health Phys.78、2000]

       

       

       

       

      4)事前配布(ヨウ化カリウム丸)

       

      市などの、各地方公共団体の判断により、医師や薬剤師の指導のもと、説明書と共に配布される。

      保管の関係から、散剤やシロップの事前配布は困難。

       

       

      ヨウ素カリウム丸50mg「日医工」

       

      ひとつの丸剤あたり、ヨウ化カリウムを50mg含む。

       

       

       

       

      5)緊急事態時の配布(ヨウ化カリウム丸・安定ヨウ素剤内服液)

      前もって、各避難所に備蓄されていた薬剤やその原料から調製されたものを、避難してきた住民に配布する。

       

       

       

      安定ヨウ素剤内服液

       

      1mlあたり、ヨウ化カリウムを16.3mg含むように調製。

       

       

      [原料]  ヨウ化カリウム(原薬)

          単シロップ

          注射用水
       

      [器具]  栓付きメスシリンダー

          メスシリンダー

          ポリ容器

          自動分配器(ディスペンサー)(あると有用)
       

      〜5リットル調製〜

      .茱Σ愁リウムの原薬81.5gを正確に秤量し、栓付きメスシリンダーに取る。

       しき水500ml(注射用水)

      注射用水 2000ml

      C吋轡蹈奪廖。横毅娃ml

      き ↓◆↓をそれぞれポリ容器に移してよく混和し、均一とする。

      ゥ好櫂ぅ箸筺⊆動分配器でカップへ分配していく。

       

      3歳未満はスポイトで、3歳以上はカップで服用してもらう。

       

       

       

       

      6)禁忌・慎重投与・副作用

       

       

      単回服用なので、甲状腺の機能異常などの副作用は心配ありませんが、副作用低減や防止のため、以下の経歴のある方は服用できません。

      [禁忌]

      ヨウ素アレルギー

      [慎重投与]

      ヨード造影剤過敏症の既往歴

      ジューリング疱疹状皮膚炎

      低補体血症性蕁麻疹様血管炎

       

       

      一時的に起こりえる副作用

      [副作用]

      胃部不快感や下痢、発熱

      不快な真ちゅう様の味覚や口腔および咽喉内の灼熱感

      薬疹

      脂漏性部位においてのにきび様の皮疹

       

       

       

      7)使用上の注意点

      満腹の時の服用はできるだけ避けてください。吸収が落ちるからです。

      とはいえ、空腹時にのむと胃腸への負担がいくらかかかってしまうので、食事が終わって30分経った頃が推奨されます。

      コップ1杯以上の十分な水で飲んでください。代わりに牛乳などの乳製品でのむと胃腸の負担が軽くて済みます。


       

      8)授乳中の方へ

      指示された用法用量で服用しても、母乳中のヨードは平常の範囲内に収まります。

      但し、吸収された放射性ヨウ素も移行する可能性がありますから、子供がどれだけ母乳から摂ることになるかは推し量ることが困難です。

      人工栄養(粉ミルクなど)へと切り替えて、それぞれしっかり服用することが望まれます。

      対象者の方は、事前配布された薬と一緒に粉ミルクなども備蓄すると安心です。

       

       

       

      9)取り扱い上の注意点

      [保管]

      シートのまま、ふた付きの容器やジップロック等に入れて保管してください。

      湿気は避けて、遮光の上、保管。日の当たらないところで、保管してください。

       

      [使用期限]

      ヨウ化カリウム丸は3年間、原薬は5年間のものが多いです。

      細かい更新、回収方法などは、各自治体に拠ることになります。

       

      [その他]

      もし、余ったから、もったいないなどの理由で何もない時にのもうと考えている方がいれば、絶対に避けてください。

      こちらは医薬品です。

       

      日本核医学会が震災直後に心配していたことは、必要のない時のヨウ素の多量摂取です。

      1回の服用でも甲状腺機能が不安定になり、リバウンドで一定期間後に周りの放射性ヨウ素の取り込みが高まる可能性があります。

      適切なタイミングで服用し、その後は早めに安全なところへ避難することが肝要です。

      ちなみに、1日に必要なヨウ素の所要量は、約160ugとなっています。

       

      日頃、甲状腺機能の低下、あるいは亢進で治療されている方も特に禁忌とはなっていません。ですが、上述のようにいくらか影響が残るかもしれませんので、かかりつけ医と相談し、体調を日頃からよく把握していきましょう。

       

       

       

      10)うがい薬や食品で代用できる?

      例えばイソジンガーグルなら、約15mlのめば、大人ひとりあたりの用量になります。

      しかしながら、うがい薬も外用薬も殺菌・消毒のための薬です。添加物の問題やどれだけ吸収されるのかも未知数なのでリスクの方が高いと言わざるをえません。

      ひとつ、昆布からのヨード摂取で現実に適う可能性のある方法をご紹介します。

      沸騰した水に入れ、15分煮れば、99%のヨードが水に煮出されるそうです。その煮汁を摂る方法です。

      昆布1gあたり、1〜4mgヨードは含まれます。重さを測ればある程度の正確さで安定ヨウ素として摂ることができます。外部と遮断されたというような緊急時には、使える方法かもしれません。

      ただ、昆布の厚さにもばらつきがあります。特に小さな子供に与えるのには慎重を期します。

      (あるデータ)昆布1gあたり2.4mg:5センチ角の昆布(乾燥)で5g

       

       

      11)子供を守るために

      放射性物質から身を守るには、直接触れずかつ摂らず。

      安定ヨウ素の事前配布が小さな子供へ対しては難しいのなら、事故現場からなるべく早く遠くへ逃がすべきです。

      指針にはこうあります。

      全面緊急事態の前の、放射線が敷地外へ出る恐れが出てきた施設敷地緊急事態になった時、つまりまだ安定ヨウ素剤を服用する必要のない段階で、他の災害時要援護者と一緒に、乳幼児とその保護者は優先的に避難させると。

       

      ルールを守れば、安全な内に子供たちを逃がすことができます。事前配布は混乱をさけ、段階的に避難を安全に進めるためのものでもあります。受け取りを忘れたら、子供達と一緒に逃げるよう促されるのでそういうことのないよう、事前配布を逃さないようにしましょう。

       

      どうにか小さな子供にも事前配布できる方法はないかと色々考えを巡らせていたのですけど、守る方法は安定ヨウ素だけではないという結論になりそうです。避難計画の整備に力を入れることで補うことができる問題でした。


       

      12)終わりに

      受けとる側の視点から安定ヨウ素とその対象の要となる子供を中心に、まとめてみました。

      原子力事故時の対策はもっと広範囲に渡ります。この原子力規制委員会の対策指針は合理的且つ効果的な防護措置を目指しています。改正につぐ改正ですから、検索にかけるといくつもヒットしました。一番ページ数が多いところのアドレスを最後に併記いたします。

      また、PAZ、UPZなどの言葉の指す地域の定義については、拙ブログの6日に投稿した記事「周辺住民へ向けての原子力災害対策」に載せています。こちらも合わせてご覧ください。

       

      原子力災害対策指針
      https://www.nsr.go.jp/data/000024441.pdf



       


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